似顔絵から
似顔絵。というと、似顔絵師なる人は、対象者の特徴を一瞬で見抜き、強調したりデフォルメしたりして、写真以上に本人らしい顔を絵に作り上げる。
子供の頃は、倉敷の美術館前で営業している似顔絵師を飽きずにずっと見ていたものだ。憧れでもあった。
しかし長じて、似顔絵教室の通信教育を受け勉強してみると、どうもその才能がないらしいとわかった。まず、デフォルメが苦手である。カルカチュアなんてとんでもない、まさに理解の外だ。
なにより、似顔絵師は不特定多数の人々と対面し、作業中もコミュニケーションをとるという超人的な才能が不可欠である。社交性に欠ける自分にはおおきな難関だ。
なのでこれらを似顔絵と呼ぶのは正しくないかもしれない。ただ愚直に徹して写生する。いろんな線を引いて、無心でやっているとなんだか楽しい。それだけのことである。
ところで、ネットで多く公開されている鉛筆画(特に色鉛筆画)の有名人画は、どうもほとんど下書きは写真のトレースのようである。
以前、プロの色鉛筆画家と称する人に、この絵の下書きはトレースですよね?と聞いたことがあるが、頑として答えず、逆に誹謗中傷だと非難されたことがある。
人物画を描くのは形を取ることが基本だと考えている者からすれば、何だかなあ、という感じ。「よく似てますね」とかいうコメントをもらって、トレースしながら平気で「有難う」と答える神経がよくわからん。
というより、色鉛筆画という分野は、基本塗り絵であって、下書きトレースが普通のことなのかもしれないが。
トレースどころかデジタル画も横行しているネット発の絵たち。ちいさな「古塔つみ」が星の数ほど潜んでいそうである。
古塔つみ‥…去年、トレパク騒動で大炎上した。女性のフリして実はおっさんだった!